猫の版画「侑恵留可夢」(ウエルカム)

エッセー 「芸術作品の飾り方 最初に書画骨董があって、それから住まいの設計を」 

 Madame Yamashita 記


      

「侑恵留可夢」(ウエルカム)
             
画中の「侑恵留可夢」(ウエルカム)の文字は「夢が侑(あ)り留めて恵まれ可能にする」という意味。玲司さんが考案したものです。                                                                              
作品名 「侑恵留可夢」(ウエルカム)
作家
山下玲司
技法 リトグラフ
額の大きさ、( )内は画寸、単位:センチメートル
58.5×77(42×56)(額:白木系)
額縁は前面アクリルガラス入り
サイン 山下玲司の落款入り
限定枚数 50枚(エディションナンバーは作品の裏に明記)
価格 11万5000円 (送料、代金引替手数料は別途)
(額なし、版画本体のみも受付ます。価格は10万円)  
問い合わせ 下のバナーをクリック願います。




芸術作品の飾り方

「最初に書画骨董品があってそれから設計を」


 
 過日、「侑恵留可夢」を購入された方のご自宅におじゃましてきた。

 ベイエリアの高層マンションの14階。エレベーターを降りて通路から見える町並みの眺望、部屋に入ってからは、ゆったりとしたスペースのベランダから見える壮大な俯瞰図が繰り広げられる。

 海、船、そして昇る赤い朝陽、日中の黄色い太陽、暮れなずむオレンジの夕陽とロケーションの素晴らしさは感動的で予想を超えるものだった。贅沢な充足感に溢れる一日。

 「侑恵留可夢」を購入されたとき、ご夫婦は一戸建てにお住まいだった。「近々マンションを買おうかと考えておりまして、その玄関に良いのではないかと思う。それで、お願いしたい」と。

 マンションの玄関に入ると真正面に「侑恵留可夢」がいた。離れて小さく見えていた絵が、歩いて進むにつれ、大きくなっていく。「侑恵留可夢」は比較的大きい絵で、ご主人が「この絵が来たとき、大きいなあと思いました」と。デッサン力のある人の絵は実寸よりもかなり大きく見えるもので、その感は一層強くなる。

 玄関から見えた空間は白が基調で、正面に「侑恵留可夢」だけがいる。「侑恵留可夢」のための空間だ。  

 ご主人は「この間取りともう一つタイプがありまして、そちらでは玄関の正面に絵を飾れない。玄関の横の壁に掛けなくてはいけないので、それではと思いましてこちらにしました」。

 この考え方は正攻法。最初に書画骨董品があって、それを見せて建築意匠が分る建築家に図面を引いてもらう注文住宅でないと、あとから取って付けたように書画骨董品を並べても上手く飾れない。その場合は相当に高い芸術力が必要とされるし、一般の方に、それは難しい。

 統制の取れた高い作為が芸術作品なので、建築物そのものを作品だと思い造っていかなければ、飾っていかなければ機能性にとらわれてしまう。それは味気なく、その空間にに芸術作品を並べてみても、実にいただけないものとなってくる。

 マンションを購入された方は、戸建てのときは玄関を入って正面に絵を飾れない間取りで、玄関の横の壁に飾っておられた。「それがいやでね」と首をかしげられた。

 そばで「侑恵留可夢」は優しく微笑んでいた。

                                      

 

アジアンテイストの竹柄の茶系の額縁
額寸69×83(画寸45.5×59.5a)

                       

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